2023/11/12 望月亮
皆さんは漫画をよく読みますか?かくいう私の原点は週刊少年ジャンプで連載されていた食材をテーマにした漫画「トリコ」でした。元々は父親が読んでいて、その影響もあってか自分にとっては1番の足掛かりになるものでした。その画力やストーリーに惹かれていつしか親子の共通の話題になっていました。また、同時期にアニメが放送されていたことも相まって、話題が友達とも共有できるようになり一大ブームが築き上げられました。そんな人とのコミュニケーションツールの柱ともなりつつある漫画。その中でも最近アニメ化され主題歌も爆発的な人気を誇る「葬送のフリーレン」について知っていただきたいと思います。気になるけど見てない方や聞いたことあるな、ぐらいの方でも楽しんでいただけるような記事にしたいと思うのでぜひ最後まで見ていただけると幸いです。
※この記事は漫画116話までのネタバレを少々含みます。しかしそれを踏まえた上で漫画を見ていただくとより深く楽しめると思います。
物語は勇者が魔王を討伐し、凱旋しているところから始まります。勇者ヒンメル、僧侶リヒター、戦士アイゼン、今作の主人公でもあるエルフのフリーレンは魔王討伐の10年もの長旅を終える。しかし長命種のエルフであるフリーレンにとっては人生のほんの一部でしかなく、50年に1度しか見れないエーラ流星を皆が思いに耽る中特に思う様子もなく。次回も全員でみることを約束しパーティーは解散した。 50年後、すっかり年老いたヒンメルと再会したフリーレンは、ハイターやアイゼンと再び流星群を眺めに行く。まもなくヒンメルは亡くなるが、彼の葬儀でフリーレンは自分がヒンメルについて何も知らず、知ろうともしなかったことに気付いて涙する。その悲しみに困惑したフリーレンは、人間を知るための旅に出た。 それから20年後、フリーレンはハイターの元をたずねた。ハイターは魔導書の解読と戦災孤児のフェルンを弟子にすることをフリーレンに依頼。4年後、フリーレンは魔導書の解読を終え、フェルンは1人前の魔法使いとなる。ハイターの最期を看取った2人は諸国を巡る旅に出る。途中でアイゼンの弟子である孤児のシュタルク仲間に入れ3人で旅をすることになる。アイゼンはこの当てのない旅に目標と意味を託してくれた。それはフリーレンにとって大切なものに気づくきっかけを与えてくれた。そうしてフリーレンはパーティと共に勇者の軌跡を辿る旅に出た。
多くの漫画が強大な敵や自らが成し遂げたい目標に向かう過程を描く中で、この漫画は目的を成し遂げた「後日談」に焦点を当てているところに意外性を感じる。もちろん途中である目標に向かって進むのだが、ショートストーリーの連続のように感じる小気味の良いテンポ感も読者が読みやすくなっている。
・ストーリーの構成この物語は過去から現在そして未来までもが話の中に盛り込まれている。フリーレンは長命種でありほぼ永遠の命の持ち主であるため時間感覚が人とはかけ離れたものになっている。その「時間の感覚」が鍵になってくる箇所がいくつもある。人間は長くても100年程度しか生きられないためすぐに死んでしまう。話の中で出てくる人物たちはどこか皆印象的で記憶に残るものとなっており。フリーレンもその記憶のかけらを一つ一つ拾い集めていくのが読者に伝わってくる。心温まるストーリーからシリアス、クスッと笑えるようなコメディも随所に散りばめられており緩急のある読み飽きない。
・伏線や考察のしがいこれも醍醐味の一つだと感じる。有名な作品を例に出すと「ワンピース」だろう。日夜新しい考察が飛び交い人気は衰えることを知らない。しかし私個人としてはそれに負けず劣らずフリーレンの伏線も面白いと思う。ページを捲るたびにあるとは言わないが、各話にひとつづつぐらい伏線が貼られたり回収されたりするのでただ読み進めているだけでは勿体無い。かく言う私も最初は「ほーん」ぐらいで読み進めていたものの2周、3周と読んでいるうちに気付かされることが多くなり言葉の一つ一つにも重みが増してくる。スルメのようなそんな味わい深い作品になっている。
個人的には「漫画1回目→主題歌MV→アニメ→漫画2回目」だと思っている最初にアニメを見ることでキャラと声を一致させた状態で読めるので声優に納得がいかないと言う厄介な問題がなくなるのでそれはそれで良いと思う。しかし私が実際に人に勧めていく中で聞いた感想をもとに語るとやはり漫画からの導入を強くお勧めする。先ほども述べたように一度読破してアニメを見るとセリフの一つとっても没入感が変わってくる。特に主題歌につよく感じたのでぜひ試していただきたい。
今回は今秋1番熱いと言っても過言ではないと感じている。作画にも気合いが入っており特に衣服の質感や戦闘シーンなどは漫画に比べ盛りに盛られているため圧巻です。私の語彙力では表現できないほどの物語で初めて漫画に対して美しいなと思わされました。ぜひ皆さんも1度とは言わず2度3度読んでいただければと思います。きっと人生を変えてくれる1ページになると思います。 みなさま最近冷えてまいりましたので体にご自愛を！以上。